それも母の住むアパートからわずか800mのところ、彼女の伯母つまりニコルとボクのアパートから100mしかない。
マエルが引越しした翌日の夜 我々は彼女のアパートを訪ねた。日本で言う8畳間x2とキッチン、バストイレそして小さな
バルコニーがあった。 主だった家具は備えられていたが、細かなものはまだ箱から出されていない状態。
我々3人は キッチンでお茶を頂いたが、前の住人が残していった天井のランプが 淋しげにポッンと照っているのが
初めて一人住まいする マエルの気持ちを代弁しているように見えた。
九州ぐらいの大きさのスイスに 26州あり 大学を持つ州は 約10州で、主にドイツ語圏、フランス語圏でイタリア語圏
には大学がないので イタリア語圏の進学希望者は フランス語、或いはドイツ語が出来なければ進学できない。
そのせいかイタリア語圏の人達は語学が達者な人が多い。
つまりボクが言いたいのは スイスでは 小さな国のうえに3つの言葉の壁が あるため 移住するにあたっても かなり
制限がある・・・ということなのだ。 スイス人には世界旅行をする者が多いのは このコンプレックスのためではないかと
ボクは思っている。
だから このマエルのママゴトのような巣立ちも そのような事情もいくらか影響している。
巣立ちの儀式として アパートの一人住まいするマエル ちょっぴり淋しげな表情には 飛び立つ覚悟ができているようであった。
写真は シリーズ “背中の肖像” より ーマエル19歳の夏ー
