昔のコマーシャルで 「私はこれで 何々 をやめました・・・」と小指を立てる 仕草が流行ったことがあるが、
ボクの来欧の理由も 実は顔に似合わず 「小指」であった。
(小指が何を意味するかなどと野暮なことを聞く人が無いことを願う)
それまで ボクの頭の中には ヨーロッパは存在せず ましてスイスなどという国が あることすら知らずにいた。
それが なんの悪戯かその小指に導かれて ヨーロッパまで来たのである。
そのころボクは鍼灸学校の生徒で禅学の途についたばかりの 若者?(バカ者にも成りきれない)で
多分、2週間ほどの滞在中 ボクはその小指さんの写真を撮りまくる日々を送っていた。
単なる医学生で モデルでもない彼女をひたすら写真を撮っていたけど、カメラで照れ隠ししていたのか。
彼女は ボクにとって 120%ヨーロッパ人であった。 東洋の 「東の字」も入る余地のない・・・。
後にガイドになって知ったことであるが ヨーロッパの名は エウロペという名の美女にゼウスが白牛に
化けて近づき 彼女を背に乗せて奪い去ったことからその語源になったという。
ボクは あの時の夢のような2週間 彼女と共に 白牛の背に乗せられていたのだと思う。
彼女ばかりでなく 見知らぬ湖すら 限りなくヨーロッパであったから・・・。
