19年前にこのアパートに越してきた年に チューリッヒで「禅」というタイトルで展覧会が
あり、その時買ったポスターが以来ずーっと 掛かっていたことをすっかり忘れていた。
目が覚めたら 対面に 一休さんが皮肉っぽい目線を送っているので 気が付きそうな
ものだが、これまで朝起きる時間は 外も薄暗く起き上がったらすぐ洗面所に行く習慣だから
気づかなかったのだろう。
一休の視線に気付くには やはり心身共にバカンスが必要で 朝も陽がたっぷり昇り ニコルが寝室の雨戸を
開け放った時 見る者を なんとなく後ろ暗い気分にさせる視線を浴びせては その反応を楽しんでいる
一休のふてぶてしい面構えの 健在を確認するはめになるのだ。

普段、一休の視線に気づかないのは幸いだ・・・ 外人の友人の何人かに我が寝室を披露したことが何回か
あるが、 多分この一休の肖像画のを見た 友人たちは 内心その悪趣味に驚愕したことだろうと思う。
その一休の顔であるが 15世紀は室町時代に描かれたそうだが、 その当時の絵という点から見ても
びっくりするほど 写真的、 少し斜めからこちらを見るともなく観ている視線を捉えた肖像は最高だ。
この肖像画は 一休がアラ還の頃のものだそうで そういえば 鏡の中自分に そっくりなので油汗をかいた。
今の日本に 一休は苦々しい 視線を送っていることだろう。