拈華微笑

自ずと示される道は、自ら歩むことで到る・・・自然

さらば “メルヘン島国”

  今回の旅が 玉手箱を開けるための 日本への帰国だったとは知らなかった。
  アラ還としての 通過儀礼であったに違いない帰国。

  わずか10日の 故郷滞在中に 44年ぶりに再会した親戚の者が何人かいて その当然の容姿の変化に 過ぎ去った歳月の長さを痛感するとともに 
  彼等の性格がまったく変わってないことに ニンマリ。

  癌に侵されていたとはいえ 予期せぬ早さで 逝った義兄の「死」は 玉手箱のもう一つのマジック作用としか思えなく
  いい年取った アラ還の自分が 玉手箱の煙に巻かれて その仏壇の前で キョトンとしている姿は 悲しくもあり 滑稽でもあった。

  十年ぶりに見た 札幌・地下街の様子に 強烈なカルチャー・ショックを受けたボクは 帰国後 約12時間は すっかり「ガイジン」になりきって
  しまった視点でしか 観察出来なかった結果だった。 何もかも「カワイイ!」で集約し それ自体充足しているメルヘンチックな在りかたに
  「桃源郷」を錯覚した外国人を沢山しっているが、「これ」であったか・・・と。
  それ自体充足していて 何も悪いことはない。 但し、智慧と慈悲が欠如していると グロテスクなんだよ。その可愛さが。

  それでやっぱり「マトリックス」化作用が働いている事を つくづく実感した今回の帰国。
  テレビは 食べること、クイズ、タレント仲間うちの楽しい会話、旅行番組「しか」放送しない。
  しかも、姉の家のユニット風呂には 小型テレビ完備・・・ボクもつい「キングオブコント2013」を観てしまった。

  誰も 福島の深刻な放射能汚染 国が乗っ取られてしまうかもしれないTPP 自由を奪われるかもしれない秘密保全法・・・なんか
  誰も心配していない。 テレビのバカ話で 民衆白痴化作用が 完全に功を奏している。

  そう考えると メディアの罪はかなり重い・・・と改めて思ったりしているうちに 10日間が一ヶ月の重さで ボクにのしかかってきた頃
  メルヘンは お伽話の本の中にしか無い国に 帰るタイミングとあいなった。

         
        昔、撮影したお地蔵様に偶然であった。「ここにいらっしゃったのですか!お変わりございませんね。」再会を喜ぶ図