拈華微笑

自ずと示される道は、自ら歩むことで到る・・・自然

幻想の画家

 我が街ローザンヌの対岸の街、フランス領のエビアンで今、『ポール・デルボー展』を催している。

 画家ポール・デルボー(1897〜1994)というと、ボクにとって個人的に思い入れ深い画家の一人だ。

 スイスに2度目に来た時、スイスを基点にして3週間ヨーロッパを一人旅した。
 その時、初めて訪れたベルギーで彼の絵に出会った。(・・・30年以上前のことで、日記とかもなくいろいろな事柄が
 記憶曖昧になっているが、彼の絵には何故か強烈なインパクトを受けたことだけは覚えていて、その場で買った画集
 が家のここかにあるはず…でも目下のところ見つからない)

 当時のボクにとって『西洋』と云うのは、アメリカのことで、たまたまスイス人の友人ができてスイスを訪れたことで
 ヨーロッパがボクの目の前に広がった・・・といういきさつがあり、ヨーロッパといわれるものについてほとんど何も
 知らずにいたのが、彼の絵を見ることで、ピカソ、ゴッホ、ギリシャ神話、などから始まってアラン・ドロンの映画とか
 ありったけのヨーロッパに関する知識的イメージがワーッと!

 それに付け加えてデルボーの絵に出てくる裸の女達、その脇に立つ気弱そうな男の姿など、ボクの性に関する潜在意識
 の何処かに強く働きかけてくる自分の感情に戸惑ったのだ。
 ・・・まァ、今考えるとそういったのが『シュールレアリズム』の持ち味ということになるのだろうが。

 かのシュールレアリスムの巨匠、マグリットもベルギー出身でデルボーとは一歳違いのシュールレアリスム界の双璧
 であるというのも今回知ったことで、ボクの場合ヨーロッパを考える時、ダリなどを含めたシュールレアリスムの画家 
 たちが観せてくれる世界観は必須の要素であるような気がする。


   
   Evian の美術館はまるで、デルボーの絵に出てくる建造物で、このポスターの絵そのものが
    この建造物から湖に向かって描かれたかと思わせる、実にシュール!・・・