拈華微笑

自ずと示される道は、自ら歩むことで到る・・・自然

浮世の美

  タンデム(地元の日仏語交流会)で知り合った猪武Yvesさん(フランス人)の展覧会『心揺さぶる浮世の美』を観てきた。

  EPFL(ローザンヌ連邦工科大学)で研究者として働いている…と聞いていたが、こういった『微妙』な画とは知らなかった。

  彼の絵はシュールレアリスムが基調になっていて日本文化と西洋文化が混在している実に『奇妙』な作品だった。

  絵もどこか稚拙さを感じさせるが、それがかえって非現実味を増すように全作品的に統一され奇妙さを増殖している。

  ギャラリーはローザンヌのフロンという場所で、若者が集まる所として注目されている一角にある古い倉庫をギャラリーにした天井の

  高い空間に『浮世の美』が配され、私達が訪れた時、裏庭に続く戸口が開放されて、木もれ陽にキノコ群が異様な模様に光って見えたのも

  彼の作品のせいだろうか。

  日本へ行ったのは、その昔仕事の関係で2週間だけだったそうであるが、以来日本文化に魅せられ、彼の画に『和』の要素は必須となっている。

  『浮世』などというあやふやな言葉はあやふやな日本にしか存在できない ・・・モノなのだろう。

        

              7〜12 Septembre Espace démArt ( Flon, Lausanne )

  そんな怪しい雰囲気で彼の肖像を撮ってみようとこんな構図で撮ってみたが、

  彼自身はちっとも『奇妙』でなく、むしろ生真面目なのが・・・浮世の美を成立させているに違いない。

  『AI』とか『IT』とか、彼も日常普通の人以上に接している環境にあってその真逆の『曖昧』な世界に魅せられるのだろうか。