誰かに言われた言葉が何故か気にかかる・・・ということはよくある。
私にはそんなには無い気がするが、鍼灸学校の先生であった伊藤真愚先生に掛けられた言葉
『お前の部屋は、汚いだろう・・・』と言われた経緯については9年前のブログに書いた 掃人 - 拈華微笑 ネンゲ・ミショウ
に詳しく書いてある。
伊藤先生は、私が禅修行に進むことになった切っ掛けを作ってくれた一人ではあったが
最初に掛けられたあの言葉がじつは私への公案であったか…としみじみ思えるようになったのは最近のことだ。
先生と生徒という立場であれ、個人的に最初に掛けた言葉が『部屋が汚いだろう』…とは普通言わないものだ。
授業はいつも着物にモンペ姿、禅を現役で修行していた変わり者の先生であったから、さもありなんとは若干は思ったかもしれないが
それにしても、何を聞いて来るんだ…と私は内心いぶかしかった。
結局それ故にこそ、先生のその言葉は私の人脳にInputされたに違いないのだが。
まぁ、それがその時の伊藤先生が私にくれた公案だったとして、それのなにが問題であったかということであるが
『お前の部屋は、汚いだろう…』って言われた私は、自分の部屋が汚いのかキレイなのか、正直わからなかった・・・ということである。
つまり、『綺麗な部屋』の基準がわからなかった・・・ということなのだ。
最近私は『色即是空空即是色』について思うに、『空』がわかった時、初めて『色』を知ることが出来るのだ…とわかるようになったのだが
伊藤先生のあの『声がけの真意』はそこにあったのだ・・・と、あれから40年たってポロッと解けた気がした。

『気炎を吐く』という人に初めて出会った。伊藤真愚先生はまさに東洋鍼灸にふさわしい人であった。