拈華微笑

自ずと示される道は、自ら歩むことで到る・・・自然

キャバレーな夜

  一昨日の夜、久々に生の娑婆(シャバ)感に触れたおもい。

  先週末はヨーロッパ全国的に『音楽の日』で、わが町モルジュですら3〜4ヶ所で大小のコンサートが行われたようだ。

  相方がネット検索して入場を予約してくれたのは、小さな劇場での『キャバレーな夜』と題した『歌と踊り教室』が主催したものであった。

 

  『歌と踊り』・・・とだけ聞いていたので、幕開けに50歳代の女性が勢ぞろいしたのを眼にした時は、若干おどろいた。

  なかに、一人だけ太っちょのオッサンが混じっているのが異様でありながら、滑稽感を滲ますなど案外な演出に期待が膨らんだが

  案の定、思いっきりのB級感を醸す熟年女性の歌と踊りに、キャバレーやスナック、バーなど一度も行ったことのない馬骨には

  シャバ感というか場末のキャバレー感を十分楽しむことができた。

 

      

               右奥で、科を作るオッサンが最高!・・・の図

  ステージ前脇で電子ピアノを前に座っていた中年のオバサンがこのクラスの指導者で、ライザ・ミネリのあの有名な歌『キャバレー』を

  フランス語で熱唱した時、その迫力と上手さに観客はみな度肝を抜かれ拍手喝采となった。

  指導者がこれであるから、生徒の中には何人か素人離れした歌唱力を発揮し、一時間半の公演は盛大なうちに幕を下ろした。

 

  相方ニコルはすっかり興奮し、自分もやりたい・・・などとぬかし、私は怖れを抱いた・・・。

  スイスは国旗が示すとおり、ふだんは四角四面の表面を着飾る、じゃっかん気取ったような面が目につくが、

  現実にはイタリヤ、ポルトガル、スペイン、そしてもちろんフランスなどの移民がわんさといる国なのであるから

  一皮むけば、『演歌』ほどではないにしても『人情』をにじませる文化風土が横たわっているのだろう。

 そういえば、私の妄想として、こちらの人間共に『演歌』を指導する・・・というのが確実に胸奥に渦巻いている・・・のだが。