先日パリに行った時、入手した二冊の本 堤 未果著『貧困大国アメリカ1、2』を読んだ。
一冊目が2008年、二冊の目が2010年出版されどちらもベストセラーになったという。
ずーっと気になっていた本を遅まきながら読むことができた。
ボクはツイッターなどで『金蝿マフィア』と昨今の人の心を失ったカネにまとわりつく人間どもを、そう総称しているが、
この本はその成り立ちをかなり掘り下げ、解りやすい形で提示し、読み進むうちにじつに背筋が寒くなる・・・現実味をおびた恐怖をじかに感じさせる優れた本であった。
堤未果さんが、あとがきにある女性(アメリカ人)の言葉を記している
『一番怖いものはテロリストでも大不況でもなく、いつの間にか私達がいろいろなことに疑問を持つのをやめ、気づいた時には
声すら自由に出せない社会が作られてしまうことの方かもしれません』
今まさに日本は 本当にそうなりつつある・・・・。
そして、ボクがいう『金蝿マフィア』は、どうも『コーポラティズム(政府と企業の癒着主義)』ということになるようだ。
気持ちが暗くなる目から鱗的内容の中でも、ボクには特に象徴的出来事と思ったのは
刑務所の民営化で囚人を低労働賃金者として使役してぼろ儲けしている企業が沢山あるということだ。
3回罪を犯すと終身刑、刑務所内での囚人の借金漬け、ホームレスの一斉排除、、、などによる
労働力確保に司法も協力しているという図は・・・・じつにアメリカ的。SF的。
ボクが子供の頃、あこがれのアメリカの在り方が、約10年後に日本でも実現できる・・・みたいな事が言われていたように思うが、
例のアメリカの2001年の9・11以後に起きた変化が 奇しくもちょうど十年後の2011年3・11後の日本に現実に起きている変化であることが
まさにグローバル化の波として実現していることが本当に恐ろしい。
ここスイスも例外ではない・・・というよりスイスこそ様々な点でコーポラティズムの大先進国であると思う。
日本の副総理である麻生はナチズムに学び、総理の安倍はアメリカのコーポラティズムを取り入れるなど
して、庶民からしっかり搾取すると同時に『美しい日本』などとのたまわっている。
まだ読んでいない人に是非一読をすすめ、世界が日本がどのような状況であるのか知って、共に背筋の寒さを実感しようではないか。