日曜の朝市場で 見覚えのあるオッサン・・・と思ったら、やっぱりシャルルだった。家に遊びにおいで、ということで12年ぶりのオジャマを午後にした。
彼の奥さんは日本人で結婚する前からの知り合いで、結婚後は家も近くだったからよく行き来していたが、彼らが郊外に引っ越してからはご無沙汰していた。
モダン好きの夫婦らしい内装のサロン、白一色のキッチンは特注だそうで 専業主婦の意地を感じさせた処の鍋の一つに、なんと『しるこ』が!・・・。
やっぱり持つべきものは 『日本人の妻』だったか!・・・と、思わず嫉妬の眼差しをシャルルに向けたが、その視線が彼の腹に注がれた時 なんとも言われぬ
『溜息』がボクの鼻から抜け出ていた。
『しるこ』から始まった世間話は 留まるところを知らず、夕方になってしまい、『夕食も一緒に』・・・ということになった。
『残り物でごめんなさい~』と出された日本料理に、ボクは再び 持つべきものは・・・と思ったが、再びシャルルの腹を見て『黙っ』た。
ご飯に とろろ をかけて食べたのは何年ぶりであろう・・・か。 それに刺し身と煮魚がでたが、その前に汁粉2杯食べたてしまったボクは満腹の苦しみ。
日本人専業主婦の威力にボクは『おみそれしました!』状態で 我が腹をさすりながら 相方と彼ら夫婦のフランス語会話を聞いていた。
裸一貫で始めたシャルルの事業は ほぼトントン拍子的に伸び 家族経営の会社を率いて何十年・・・のシャルル。
ボクと同年輩で あと数年で退職する彼には 悠々自適の生活が 待っている・・・(アリとキリギリスの物語をボクは頭に浮かんだ)であろう彼の口から
意外な言葉が出てきたのだ。『時折、自分がやってきた事はなんだったんだろう?・・・』としばしば思う、と言うのだ。
これまで、なぁ~にもやって来なかった同年輩のボクは それも『怖れいっ』て聞いていた。
何かを成し遂げた人のセリフ・・・なのだろうか? そういうのは? ボクもいつかそういう セリフを吐く時が くるのだろうか?
意外な彼のセリフに 彼の真面目さ 人生に対する真面目さを見て ボクは腹をさすりながら 真摯に受け止めるのだった。