拈華微笑

自ずと示される道は、自ら歩むことで到る・・・自然

モダン・タイムス

  毎朝 キックボードで下る駅までのコース途中 チャップリンの映画「モダン・タイムス」音楽付き・・・のチラシが。 で、相方にキップをたのみ 昨夜行ってきた。

  シネマ・テックといって ローザンヌ市立の映画館が これまでの小ホールから 先日まで商業映画館であったキャピトル映画館に 移動した記念映画が 昨夜の
  映画であった。 そういう経緯を知らないものだから 入場時間ギリギリに映画館前につくと 結構な人だかり。 中に入ったらもっと人が沢山いて
  しかも、スクリーンの前に陣取っている 本格的オーケストラを観た時、単なる映画鑑賞・・・じゃないんだ・・・的に納得。

  チャップリンの「モダン・タイムス」はこれまで たぶん2回くらいは見ていると思うが、だいぶ以前だったから 内容はほとんど忘れていた。

  この日の 昼間に アラフォー女友達にこの映画の事を話したら チャップリンの映画を一度も観たことが無い・・・というので、「えっ!」とほとんど軽蔑に近い
  眼差しで睨めつけて、アラ還オヤジをしてしまった。
  まぁ、ボクもガンジーを知ったのが たまたま「ガンジー」の映画を観たから・・・であるので 偉そうなことはいえないが・・・それにしても!

  前置きはこれくらいにして、 映画「モダン・タイムス」も オーケストラも 素晴らしかった。
  この映画が制作されたのが、1936年でチャップリン47歳の時の作品。産業革命後 工場で働く人々が 機械の一部の様に扱われ 人間性を失ってゆく様子を
  チャップリンのユーモアとペーソスで描いた作品。

  映画の中に チャップリンが初めて 自声を発して歌い、踊る場面があったが、今回、その言葉が 何語でもない・・・ことを発見出来て とても嬉しかった。
  その工夫に チャップリンの深慮をうかがい知ることが出来た。(昔はそれは英語なのだろうと、思い込んでいた)

  そして、 有名なラストシーン・・・ 朝日に向かって 彼女と腕を組んで なが~い一本道を 歩いてゆく・・・希望を象徴するシーンも良かった。

  しかし、ボクが一番感心したのは この映画が作られた 77年前から 人間は一歩も進歩していないんだなぁ~ということ。
  パトロンは従業員をこき使うことしか考えていない現実は むしろ現在の方が 悪化しているだろう。

  チャップリンは 1952年、63歳の時アメリカから国外追放の憂き目にあっている。 レッドパージ(赤狩り)の最中であった。
  この時のアメリカの大統領は 我らがトルーマンで、今回ウィキペディアで調べたら 
  トルーマンは白人至上主義者団体クー・クラックス・クランの元構成員であった、という。もし本当なら ヒロシマ、ナガサキの原爆も納得いくし
  平和主義のチャップリンを国外追放する行為も 納得がいく。(まぁ、そのおかげでローザンヌの隣町ヴェヴェイに彼は住みついたわけであるが)

  それともう一つ面白い発見は チャップリンとヒットラーは 同年生まれ1889年生まれで どちらも4月生まれ・・・なんか不思議?

           
            我らが人間の時代には どの時代にも 彼のように勇気を持って 不正に立ち向かい 
            弱い立場に寄り添う人が必ずいる。・・・それをボクは 文化と呼びたい。