拈華微笑

自ずと示される道は、自ら歩むことで到る・・・自然

文楽 in Lausanne

 昨夜 ボクは初めて『文楽』というものを観た。
 スイス、日本、国交樹立150周年記念行事の一つとしてローザンヌの連邦工科大学の図書館『ローレックス・ラーニング・センター』で行われた。

 スイスで文楽は今回が初めて公演されるそうで、昨夜は火曜日という平日にもかかわらず大勢のスイス人が見に来ていた。
 
 前知識ゼロで出かけたので、本格的な舞台の作りや照明、三味線、人形遣い、そして太夫という物語を語る男達の迫力に度肝を抜かれるおもいがした。
 ボクもスイス滞在20数年・・・こちらの人間がどういう思いでこの『文楽』を見ているのか?・・・だいたい想像はつく。

 たかが、人形劇であるのに 一つの人形の周りに3人の人形遣い、舞台右手には三味線、太夫ら3~4人、そして黒子がときどき舞台をウロウロしている
 なんと大仰な仕掛け???・・・それが観ているうちにどんどん人形の姿、表情に集中して物語を追っている自分があった・・・。

 というのが、ボク個人の感想であり、大方の西洋人の感想ではなかったかと思う。

 2つ目の演し物は『日高川入江桜』で 若い女性が恋人の裏切りに怒って 河に身投げ、般若顔の蛇になって怨念を晴らす・・・みたいな物語?であったが
 その表現の激しさは・・・ロックも、フラメンコも顔負けの『情熱』に、ボクもビックリ・・・・。
 西洋人は 正直なところ『呆れながらもビックリ』した、というのが本音ではないだろうか?

 そうだよなぁ。より庶民的文化の底辺には日本の場合には 昔から演歌的『情熱』が流れているんだよ。

                 
                         公演中は一切撮影厳禁につき、唯一撮れた写真

 この日、相方の従姉妹の息子(34歳)が三度目の来日に飛び去った。いろいろ問題山積みの日本であるが、外国人の日本に対する憧れは増す一方のようだ。
 彼の来日も彼の人生を賭けての出発であった。スイスの恋人と別れてでも『俺は日本に行きたい・・・』の覚悟は『文楽』の如くであった。